Reine pur

~シリーズ公演“Reine pur”(レイネ プーア) のコンセプト~

 “pur” はドイツ語で「純粋な、混じり気のない」などの意味で( “Reine” にも同じような意味があります)、日常的には “Apfelsaft pur”(炭酸なしのリンゴジュース)のように使います。曲目から共演者まですべて自分で選び、だんだんと形を取り始めてきた「私の音楽」を熟成させていくことができれば……という願いを込めました。
 一本筋の通ったシリーズを目指す一方、今日のこの味わいは今日だけのもの。ホールという巨大なグラスを満たす音の世界を、ご来場くださった皆様にお楽しみいただけましたら幸いです。

■ 第17回「楽器を超えて」
2020年12月10日(木)19:00
淀橋教会 小原記念チャペル(大久保)

バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第1番
ベートーヴェン:ホルン・ソナタ(チェロ版)
シューベルト:アルペッジョーネ・ソナタ
~アンコール~ シューベルト:アヴェ・マリア

ピアノ 藤本江利子

第17回「楽器を超えて」第17回「楽器を超えて」
 ヴィオラ・ダ・ガンバ、ホルン、アルペッジョーネ――。チェロのためのオリジナル曲ではないけれど、チェリストたちのレパートリーとなっている作品を集めました(とりわけ《ホルン・ソナタ》は、ベートーヴェン本人がチェロ用に編曲したと言われています)。
 ウィーンでは同プログラムを、現代のピアノではなくフォルテピアノと共演予定! 楽器を超え、時代を超えて、音楽の神髄を目指します。

後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム、日墺協会、公益社団法人日本演奏連盟
協賛:三河屋
■ 第16回「ベートーヴェンへの前祝」
日本オーストリア友好150周年事業
2019年12月18日(水)19:15
ムジカーザ(代々木上原)

ベートーヴェン:《オリーヴ山上のキリスト》より イエスのアリア
        チェロ・ソナタ第3番
        テーマ・コン・ヴァリアツィオーニ(《セレナーデ Op.8》より)
        チェロ・ソナタ第4番
~アンコール~ ベートーヴェン:ト調のメヌエット
                カンツォネッタ「残酷な女」

ピアノ 藤本江利子

第16回「ベートーヴェンへの前祝」第16回「ベートーヴェンへの前祝」
 ベートーヴェン生誕250周年にあたる2020年まで、あとわずか。誰より早く「おめでとう」と言いたくて、前祝のプログラムを組みました! 知られざる《オリーヴ山上のキリスト》も《セレナーデ Op.8》も、2曲のソナタに引けを取らない名曲です(前者はこの夏、オーストリアの国際ベートーヴェンターゲで上演される作品で、私がチェロでイエスの役を務めます)。さあご一緒に、音でカウントダウンをしませんか?

協賛:三河屋
後援:オーストリア大使館、日墺協会、公益社団法人日本演奏連盟
■ 第15回「ヴァールヴィーナー」
日本オーストリア友好150周年事業
2019年5月19日(日)14:00
トッパンホール(飯田橋、江戸川橋、後楽園)

ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第1番
ポッパー:ハンガリー狂詩曲
グルック:メロディー
ブラームス:チェロ・ソナタ第2番
~アンコール~ グルック:精霊の踊り
        ポッパー:蝶々
        シュトルツ:プラーターに再び花が咲き

ピアノ 梯剛之

第15回「ヴァールヴィーナー」
 ヴァールヴィーナー(Wahlwiener)とは、出身地は異なるけれどウィーンを好み、この街に住みついた人のこと。ボン、プラハ、エラスバッハ、ハンブルク――生まれは様々ながら、本公演の作曲家たちは皆、人生の主要な年月を“音楽の都”で過ごしています。梯剛之さんとは、幼少期から少なからぬご縁が続いており、シューベルトの「鱒」以来2度目の共演! ウィーンを愛する彼と、この曲目で語り合えるのが、楽しみでなりません。

協賛:三河屋
後援:オーストリア大使館、日墺協会、公益社団法人日本演奏連盟
■ 第14回「光のバッハ」
2018年12月5日(水)19:15
ソノリウム(永福町)

バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番、第2番、第6番
~アンコール~ アイネム:《無伴奏チェロのための音楽》より 第5楽章

第14回「光のバッハ」
第13回への大きな反響、数多くのご要望にお応えし、“ウィーンのバッハ”続編をお届けします! 天から降り注ぐ光のような第3番のプレリュード、キリストの「復活」をも連想させる第6番の輝かしさ……ウィーンの歴史ある教会で演奏するうち、自然とそんなイメージが膨らみました。バッハを忘れず、敬い続けた楽都ならではの、温かみある《無伴奏チェロ組曲》をご堪能ください。

協賛:三河屋
後援:オーストリア大使館、日墺協会、公益社団法人日本演奏連盟
■ 第13回「“復活”前のバッハ」
2017年12月8日(金)19:15
ソノリウム(永福町)

バッハ:無伴奏チェロ組曲 第4番、第1番、第5番
~アンコール~ テレマン:ファンタジア第9番より シチリアーナ

第13回「“復活”前のバッハ」
 バッハはウィーンと関係ない? ――演奏家の立場で考えるなら、答えは「いいえ」! メンデルスゾーンらがドイツで“復活”させる以前から、古楽をこよなく愛するウィーンでは、バッハの音楽が演奏され続けてきました。そして、この街の「古楽」そのものも、(楽器や奏法などの)形のみにとらわれない奥深さを持っているのです。生まれたてのまんま、あくまで自然な“ウィーンのバッハ”が、お気に召すことを祈りつつ……

協賛:三河屋
後援:オーストリア大使館、日墺協会、公益社団法人日本演奏連盟
■ 第12回「太陽の国」
2017年6月12日(月)19:15
杉並公会堂(荻窪)

カサド:スペイン古典形式によるソナタ
ポッパー:スペイン舞曲集
ボッケリーニ:チェロ・ソナタ ハ長調 G.6
オール:カルメン幻想曲
~アンコール~ ボッケリーニ:メヌエット

ピアノ 矢﨑さくら

第12回「太陽の国」
 ハプスブルク朝の時代、世界中に版図を広げ「太陽の没することなき帝国」と呼ばれたスペイン――この国では今もなお、ウィーンに慣れた目にはまぶしいほどの陽光がさんさんと降り注いでいます。ウィーンとマドリッドの宮廷で活躍したボッケリーニのチェロ・ソナタ、オーストリア=ハンガリー帝国のチェロ奏者ポッパーによる《スペイン舞曲集》等々、“ほんのりウィーン風味”のスペインをお試しあれ。

協賛:三河屋
後援:オーストリア大使館、日墺協会、公益社団法人日本演奏連盟、スペイン大使館、セルバンテス文化センター東京
■ 第11回「モーツァルトとベートーヴェン」
2016年11月29日(火)19:00
ムジカーザ(代々木上原)

ベートーヴェン:「魔笛」の主題による12の変奏曲
フランツ・クサーヴァー・モーツァルト:チェロ・ソナタ
アルブレヒツベルガー:スケルツァンド
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第2番
~アンコール~ モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス

ピアノ 村本麻里子

第11回モーツァルトとベートベン2016年11月29日
 モーツァルトのオペラ「魔笛」に基づくベートーヴェンの変奏曲、モーツァルトのカルテットで名高い「プロシャ王」に捧げられたベートーヴェンの《チェロ・ソナタ第2番》。モーツァルトの友人アルブレヒツベルガーは、モーツァルトの息子フランツ・クサーヴァーとベートーヴェンの共通の師にあたります。モーツァルトとベートーヴェン――ウィーンに生きた二人の楽聖を、“チェロ”がつなぎます。

協賛:三河屋
後援:オーストリア大使館、日墺協会、日本モーツァルト協会、公益社団法人日本演奏連盟、モーツァルティアン・フェライン
■ 第10回「ピアニストのチェロ」
2016年4月9日(土)14:00
サントリーホール、ブルーローズ(赤坂)

ベートーヴェン:「ユダス・マカベウス」の主題による12の変奏曲
バルツァバ:チェロ・ソナタ
リスト:忘れられたロマンス
ショパン:チェロ・ソナタ
~アンコール~ バッハ/モシェレス:平均律クラヴィーア曲集にチェロ・パートを付した10の前奏曲より 第10番
        サン=サーンス:白鳥

ピアノ ペーター・バルツァバ

ピアニストのチェロ
2011年6月に始めた Reine pur シリーズも、早いものでいよいよ第10回を迎えます!ウィーンのパートナー、ペーター・バルツァバ氏と探究する今回のテーマは「ピアニストのチェロ」――高名な作曲家でもある氏が私に捧げてくださった《チェロ・ソナタ》を中心に、ウィーンゆかりのピアニストたちが生んだチェロ曲を集めました。回を重ねてちょっぴり熟成した(?)記念の舞台を是非お聴きください。

後援:オーストリア大使館、日墺協会、ポーランド広報文化センター、公益社団法人日本演奏連盟
■第9回「トリオ」

助成 公益財団法人日本室内楽振興財団
2015年7月18日(土)17:00
トッパンホール(飯田橋、江戸川橋、後楽園)

シューベルト:弦楽三重奏曲第1番
ベートーヴェン:弦楽三重奏のためのセレナーデ
モーツァルト:ディヴェルティメント KV563

~アンコール~ ヨハン&ヨーゼフ・シュトラウス:ピツィカート・ポルカ
ヨーゼフ・ランナー:ウィーンのレントラー

ヴァイオリン 大石智生 ヴィオラ 太田英里(東京‐ウィーン弦楽三重奏団)

ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ……カルテットとは似て非なる独自の世界。日本ではまだ、固定メンバーで練り上げた“弦楽トリオ”を聴く機会は少ないのではないでしょうか?ウィーンで結成した「東京‐ウィーン弦楽三重奏団」の皆で帰国し、この街ゆかりの名曲を演奏いたします。巨匠エドゥアルト・メルクス氏直伝の優美なアンサンブルを、ごゆっくりとお楽しみください。

後援:オーストリア大使館、日墺協会、公益社団法人日本演奏連盟、モーツァルティアン・フェライン、日本モーツァルト協会

■第8回「二重帝国の時代」

公益社団法人日本演奏連盟 山田康子奨励・助成コンサート
2014年11月28日(金)19:30
ソノリウム(永福町)

ゴルトマルク:チェロ・ソナタ
フランツ・シュミット:ハンガリー民謡による3つの小幻想曲
コダーイ:チェロ・ソナタ Op.4
ポッパー:ハンガリー狂詩曲
~アンコール~ レハール:唇は語らずとも(「メリー・ウィドウ」より)

ピアノ 金子薫

ワルツ《美しく青きドナウ》で旅人を迎えてくれるブダペストの街、驚くほど端正に奏でられるジプシー音楽……現地で聴くハンガリーの音風景には、日本で抱いていたエキゾチックなイメージと大きく異なる面がありました。「真にハンガリー的なものとは?」ゴルトマルクの《チェロ・ソナタ》など、オーストリア=ハンガリー二重帝国時代の作品を集めることで、その一端に迫ります。

後援:公益社団法人日本演奏連盟

■第7回「歌」

2014年4月19日(土)14:00
トッパンホール(飯田橋、江戸川橋、後楽園)

ベートーヴェン:「魔笛」の主題による7つの変奏曲
ブラームス:2つの歌曲
ロンベルク:オーストリア民謡によるディヴェルティメント
シュトルツ:ウィーンの森に出かけて
リヒャルト・シュトラウス:ロマンス
フェルステル:3つの夜想曲
ショパン:「悪魔ロベール」の主題による大二重奏曲
菅野祥子:春なのに
~アンコール~ 菅野祥子:波雫(なみだ)

メゾソプラノ 菅野祥子  ピアノ 金子薫

東日本大震災から3年――陸前高田出身の歌手、菅野祥子さんと一緒に、フェルステルの《3つの夜想曲》や、震災直後に菅野さんご自身が作詞・作曲した《春なのに》などを演奏します。タイトルの通り、チェロとピアノのデュオもみな「歌」を表した名曲ばかり。国立歌劇場を中心とした楽都ウィーンの魅力を、“歌う楽器”チェロが余すところなくお伝えします。

■第6回「ソロ」

2013年11月15日(金)19:30
ソノリウム(永福町)

アイネム:無伴奏チェロのための音楽
鳥の歌(カタルーニャ民謡)
コッホ:無伴奏チェロのための古い様式の小組曲
オッフェンバック:ドニゼッティ「愛の妙薬」の旋律集
マレ:スペインのフォリア
~アンコール~ シュルツェ:アイリッシュ(チェロ・アラウンド・ザ・ワールドより)

バッハの6曲の組曲を除いては、一般的なレパートリーの少ない無伴奏チェロ……けれども、心をこめて探してみれば、まだ日本で知られていない素敵な作品があるのです!今回は、アイネムの《無伴奏チェロのための音楽》など、オーストリアと何らかのつながりを持つ5曲を取り上げます。Reine pur 限定?の色彩豊かな「ソロ」を、どうぞお聴き逃しなく。

■第5回「アメリカへ」

2013年5月21日(火)19:00
東京文化会館 小ホール(上野)

ツェムリンスキー:チェロ・ソナタ
クライスラー:美しきロスマリン、愛の悲しみ、愛の喜び
ヒンデミット:幻想小品
ドヴォルジャーク:ソナチネ(チェロ版)
~アンコール~ ペーター・バルツァバ:チェロ・ソナタより第2楽章

ピアノ ペーター・バルツァバ

Reine pur の記念すべき第5回にお聴きいただくのは、ウィーンにゆかりがあり、なおかつアメリカに渡った天才たちの作品です。没後50年を迎えるヒンデミットの《幻想小品》から、巨匠エドゥアルト・メルクス氏の薫陶を受けた「チェロ版」クライスラーまで――ウィーン国立音大のペーター・バルツァバ教授をお迎えし、“音楽の都の今”をお届けしたいと願っています。

後援:駐日オーストリア大使館、チェコ共和国大使館、ブルガリア大使館、日墺協会、公益社団法人 日本演奏連盟

■第4回「デュオ」

2012年11月9日(金)19:15
ムジカーザ(代々木上原)

ハイドン:二重奏曲
アルブレヒツベルガー:二重奏曲第3番
シュルホフ:二重奏曲
ベートーヴェン:3つの二重奏曲より 第2番(ヴァイオリンとチェロのための編曲版)
コダーイ:二重奏曲
~アンコール~ シベリウス:水のしずく

ヴァイオリン 大林修子

 「デュオ」と題した今回の Reine pur は、NHK交響楽団のヴァイオリニスト大林修子さんをお迎えし、ヴァイオリンとチェロの音の対話をお届けします。ウィーン音楽の核とも言える“室内楽”を、この街にゆかりのプログラムで――相手をしっかり支えたり、仲良く一緒に歌ったり。珍しい編成に取り組むことで、チェロの新たな魅力をお伝えできましたら幸いです。

■第3回「チェコの緑」

sonorium共催シリーズ2012『映像と音楽』
2012年6月8日(金)19:30  6月9日(土)14:00  (2回公演)
ソノリウム(永福町)

ドヴォルジャーク:森の静けさ
モシェレス:チェロ・ソナタ
ヤナーチェク:おとぎ話
ポッパー:森の中で
~アンコール~ ドヴォルジャーク:ユーモレスク

ピアノ 金子薫

 ホールの壁一杯に映し出される緑の森をバックに、自然の息吹や命の鼓動に満ちた《森の静けさ》を演奏する――共催シリーズ『映像と音楽』のお話を伺って、まず心に浮かんだのはそんなイメージでした。チェコに生まれ、「音楽の都」ウィーンとも深い関わりを持つ4人の作曲家たち。緑色を基調とした現地の写真にいざなわれ、チェコへの音楽の旅に出かけてみませんか?

後援:チェコ共和国大使館、CZECH CENTRE TOKYO、日本チェコ協会

■第2回「新しい道」

2011年12月16日(金)19:30
ソノリウム(永福町)

ディートリヒ:チェロ・ソナタ
シューマン:アダージョとアレグロ
バルギール:アダージョ Op.38
ブラームス:チェロ・ソナタ第1番
~アンコール~ シューマン:インテルメッツォ(F.A.E.ソナタより)

ピアノ 金子薫

 シューマンが若きブラームスを世に送り出した、熱烈な紹介記事「新しい道」。その中に「向上めざましい芸術家たち」として名を連ねるディートリヒとバルギール(クララ・シューマンの異父弟)の知られざる名曲が、両巨匠の対話を美しく彩ります。思いがけないシューマンの病死、深い悲しみを乗り越え、音楽の輝かしい未来を信じて……ブラームスは単身、ウィーンを目指します。

■第1回「モーツァルトの影法師

2011年6月2日(木)19:15
サロン・テッセラ(三軒茶屋)

ハイドン:アダージョ(交響曲第13番より)
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番
ダンツィ:「ドン・ジョヴァンニ」の主題による変奏曲
パラディス:シシリエンヌ
フンメル:チェロ・ソナタ Op.104
~アンコール~ モーツァルト:アンダンティーノ KV374g

ピアノ 金子薫

 CD「赤いはりねずみ」の発売から1年余。長期的な発展を目指し、“Reine pur”と題したシリーズ公演を始めることになりました。
 “pur”はドイツ語で「純粋な、混じり気のない」などの意味で(“Reine”にも同じような意味があります)、日常的には“Apfelsaft pur”(炭酸なしのリンゴジュース)のように使います。曲目から共演者まですべて自分で選び、だんだんと形を取り始めてきた「私の音楽」を熟成させていくことができれば……という願いを込めました。
 記念すべき第1回は、「モーツァルトの影法師」という副題をつけたユニークなプログラム。チェロ・リサイタルには珍しい“モーツァルト”を陰の主役として、彼と交友を持った作曲家たちの作品を集めてみました。ぎゅっと搾りたて(?)の新シリーズを、是非味わいにいらしてください。